業界団体アンケート調査

Ⅰ 調査概要

 1.趣旨

   当協会では、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経営環境の変化とコロナ禍における三密を避           けるなどの生活の新様式の中で、働き方の変化による人材の確保と人材の育成が求められています。

   この渦中における経営状況と働き方の変化に伴う人材の確保・育成をどう考えているのかを調査しま      

  した。     

   このうち、82社から回答があり、半数を超える企業が大幅なマイナスとしその要因は受注減が最も   

  多い。

   事業活動面の対策としては、金融機関からの資金調達、経費削減とあり経営面での厳しさが伺える。

   行政の主な支援策を聞いたところ、知っている中で、家賃支援金が最も多く、続いて持続化給付金、

  働き方改革推進支援助成金(テレワーク)の順である。支援制度を利用しているは、雇用調整助成金が

  最も多く、続いて持続化給付金、セーフテイーネット保証となっている。

   また、労務管理面では手洗い・マスクの奨励・除菌スプレーなどの設置、職場の換気、会議出張の

  自粛・禁止の順となっている。

   ウイズコロナ及びアフターコロナの働き方と人材育成については、在宅勤務・テレワークの導入状況

  は、コロナ以前の導入と今回から導入した企業を併せ13社である。

   訪れるであろう変化としては、オンライン会議の普及、ペーパーレスが進む、コミュニケーションの

  取り方や価値観が変わるという回答の順であった。

   人材育成については、自己管理能力の向上・業務を確実に進める実行力・課題発見・解決能力の向上

  円滑なコミュニケーション力の順になっている。

   今回の調査は、会員組合を構成する企業のコロナ禍での業績調査と事業活動面での対策、今後の影響

  を鑑み働き方の変化とどのような人材が必要かを調査し、その結果について、今後の会員企業の労務管

  理の参考にしていただくことが目的です。

   ご協力していただきました、組合・組合傘下企業の皆様には改めて御礼申し上げます。

 

 2.調査対象

    当協会会員組合傘下企業156社

 

 3.調査項目

   企業の概要

   (1)調査対象企業の概要

   新型コロナウイルスの感染症の影響について

   (2)前年同期(4~7月)比の業績

   (3)具体的な影響

   (4)事業活動面での対応策

   (5)労務管理面での対応策

   (6)今後の影響

   (7)支援制度について

   ウイズコロナ・アフターコロナ後の働き方と人材育成について

   (8)在宅勤務・テレワークの状況

   (9)アフターコロナの働き方の変化

   (10)テレワーク・リモートワーク導入に伴う人材の育成

 

 4.調査期間

    令和2年8月31日(月)~9月10日(木) 11日間

 

 5.調査方法

   郵送による調査票の送付、FAXによる回答

 

 6.回答数

   156社中 82社(回答率 53%)

 

【調査結果のポイント】

◆前年同期(4~7月)比との業績

 全体では52社63%が大幅なマイナスとなり、業種別では製造業で回答のあった35社のうち27社

77%が大幅なマイナスであると回答している。

業績への具体的な影響(複数回答)

 受注減が63件80%、続いて営業・出張・会議の中止が26件27%の順で業績が大幅なマイナスと

なったことを示している。

◆事業活動面の対策(複数回答)

 金融機関からの資金調達と経費削減でマイナスをカバーしている。

◆労務管理面の対応(複数回答)

 手洗い・マスクの奨励・除菌スプレーなど及び職場の換気(空調・窓・扉の開放)を135件60%が実施し、会議・出張の自粛又は禁止の措置を46件20%が実施している回答があった。また、在宅勤務・テレワークについては17件8%が実施している。

◆今後の影響は(複数回答)

 売上の不振74件54%、続いて資金繰り19件14%と従業員の雇用不安14件10%の回答があった。

◆行政の主な支援制度(複数回答)

 支援制度を知っていると回答があった82社の内、持続化給付金73社、雇用調整助成金の特例71社、家賃支援金62社が上位に入った。また、知っていると回答があった企業のうち、上位に入った支援制度を申請・利用しているが76社となっている。

 また、知らないと回答があった中で、働き方改革支援助成金(職場意識改善コース、テレワークコース)及びセーフテイーネット保証についての回答があった。

事業継続計画(BCP)の策定状況

 策定している・策定中を併せると21社、検討中32社、検討していない・分からないを併せると26社となっている。

在宅勤務・テレワークの状況

 コロナ禍以前から導入は2社、今回のコロナ禍から導入11社の回答があった。また、導入したが運用が難しく断念したという回答もあった。

◆アフターコロナを見据えた働き方の変化

 非常に思う。やや思うとを併せ78%であった。

◆働き方に訪れるであろう具体的変化(複数回答)

 オンライン会議26%、電子化によりペーパーレスが進む16%、テレワーク・リモートワークによる在宅勤務が普及14%、コミュニケーションの取り方や価値観が変わる13%が上位を占める。また、個人のスキルが求められるといった回答もあった。

◆働き方の変化による人材の確保・育成(複数回答)

 テレワーク・リモートワークを導入するにあたり、どのようなスキルや意識を持った人材を求めているかを聞いたところ210件の回答があり上位5つは次のとおりである。

 1.自己管理能力の向上42件

 2.業務を確実に進める実行力34件

 3.課題発見・解決能力24件

 4.円滑なコミュニケーション力19件

 5.環境変化への対応力18件

 の回答があった。また、ITリテラシーの向上の必要性についても少数であるが、技術的知識を持った人材の確保・育成も求めている。