令和3年度表彰式記念講演会

 ①日 時:

令和3年10月25日(月) 午後3時10分~

②場 所:

名古屋ガーデンパレス 翼の間 (名古屋市中区錦3-11-13)

③講 師:

有限会社LIBRA  代表取締役 平野 裕加里 氏

④講演テーマ:

コロナ禍での人材育成とアフターコロナの職場コミュニケーション

 

 

〇講師プロフィール

1966年  

愛知県知立市生まれ

1989年 

南山大学経営学部卒業後、中部日本放送(株)CBCに入社アナウンス部でアナウンサーとしてテレビ、ラジオで研鑽を積む。

1990年~2004年

CBCの冠番組で夕方からの情報番組「ミックスパイください」のメインパーソナリティを担当、またフリーアナウンサーになってからは東海テレビの朝番組の「ぴーかんテレビ」などの生放送のMCをつとめ、他にラジオ番組のパーソナリティとしても多方面にわたり活躍する。

2005年~現在

2005年に有限会社LIBRAを設立し、これまでに培ってきたアナウンサー・MCとしての強みを活かして、プレゼンテーション、コミュニケーションなどの研修講師として活躍するかたわら、話をすることを業とする分野の人々に対するコンサルタントも積極的に行っている。

また、各界の著名人から指名でインタビュー依頼がくるなど、相手の心をつかむ話し方には定評があり、現在では、メディア出演やイベント司会、講演など多方面で活躍中である。

 

☆令和3年度表彰式記念講演会が開催されました

令和3年度表彰式記念講演会が、令和3年10月25日(月)午後3時10分から名古屋ガーデンパレス(中区錦)で開催されました。

市長表彰、協会会長表彰を授賞された会員企業の関係者をはじめ80名余の参加者で満席の中、講師の㈲RIBRA 代表取締役 平野 裕加里 様から、「コロナ禍での人材育成とアフターコロナの職場コミュニケーション」という演題で講演が行われました。

 




令和3年度表彰式・記念講演会要約

 

(導 入)

皆さんこんにちは。久しぶりに「リアル」でしかもたくさんの人が目の前にいてドキドキしますが、とても嬉しいです。

私は小さい時から音楽が好きで、ラジオやテレビから流れる音楽に興味を持ち、自然とそうした道を選択、平成元年に当時の中部日本放送にアナウンサーとして入社しました。

現在でも「話す」ことで仕事ができるのが嬉しいのですが、このコロナ禍で状況が一変してしまい、私の普段着の接し方ができずに皆さんのほうに演台から降りて近づくことが出来ないのがとても残念です。

しかしながら私の活動の原点は、「話すこと」「人と人をつなぐこと」です。

 

(きっかけ)

私は、名古屋の大学入学と同時に、イギリスのオペレーションローリー主催のプロジェクト派遣青年の一人としてパナマへ向かいました。

このプロジェクトは18歳から24歳までの世界各国の若者が、冒険・ボランティア・科学調査の目的で活動するもので、私もそこで貴重な体験をすることになりました。

この時の体験がアナウンサーとしての原点、それからの活動の後押しをしてくれたと言っても過言ではありません。

それまでは学校の授業でしか習ってこなかった英語、言葉のハンデは当たり前のようにストレスとなって現れ、パナマでも、仲間とのやり取りに対してわからないことがあっても聞くことができない消極的な毎日を過ごしていました。

そんなある日、たまたま朝のミーティングで聞こえてきた「晩御飯はカレーライスですよ」という一言、「カレーライス」という日本を想い出させてくれる心地よい響きにとても喜びました。メニュー名を聞いてもわからないような物が毎日の食事だったからです。

しかし、思いもよらぬ展開がこのあと待っていたのです。

私がその日夕飯の会場に行くと、他の人は皆すでに食事を食べていて、カレーライスがあるはずの大鍋にはカレーライスのかけらもないんです。私はカレーライスが食べられなかったことや溜まりに溜まったストレスで大泣きしてしまいました。

しかし、冷静になって考えてみると、仲間が意地悪をして私に食べさせないようにしたわけではなく、言葉の分からない私が夕食時間を単純に間違えたことがカレーライス事件の真相だと気づきました。

これからは、わからないことがあれば仲間に確認することを心がけよう、今までの一歩退いた姿勢ではなく、自分から仲間の中に入っていこうと決心しました。

それまでの私は英語をうまく話さなければならないと思っていたのですが、「日本人の、それも授業でしか英語を習ったことのない裕加里が最初からうまく喋れるなんて、誰も思ってないよ」といった仲間の一言で、はじめて我に返ることが出来たのです。

うまく喋ろうとして自分の殻に閉じこもるのではなく、知っている単語を並べて相手とコミュニケーションをとり、わからないといえることが出来るようになって、仲間との結びつきが一気に深まりました。

また、何が幸運をもたらすかわかりませんが、中学時代からの大のクイーン好きだったため、英語は話せなくてもクイーンの歌は唄うことができ、「裕加里は英語は話せないけど、クイーンの歌は上手に唄えるね」と言われたことも仲間との距離を縮めてくれる一面となりました。

振り返ってみると、このパナマでの体験、パナマでの涙が私のコミュニケーションの原点になっているような気がしてなりません。

 

(コロナ禍の今)

新型コロナウィルス感染予防で、人は密を避けてマスクを着用し、必要以外は人に会わなくなりました。顔の半分が隠され表情が読みづらくなりました。

これまでは意識することなく自然にたくさんの情報を得ることができたのに、このコロナの影響で表情が読み取れない、どうせマスクをしているから相手にわからなくてもいいやなどと考えるようにもなり、以前のように視覚から受け取る情報量が減ってきてしまってきた事も事実です。

また、会わないことが増えてきたからこそ、報連相を確実に行うことがより必要となってきました。

オンラインでは必然的に用件のみの伝達になってしまいます。コミュニケーションで大切なのは雑談です。雑談の中に実は大切なキーワードがあるのです。

2年前のコロナ以前には当たり前のように出来たことが、今では少しづつ出来なくなってきているのが現実です。

話す努力➡話したつもりではなく、内容が相手に確実に伝わったかどうか必ず確認してくださいい。

聞く努力➡言葉の裏にある感情を読み取ってください。また、相手が話しやすくなるような質問をしてあげてください。

しっかり聞いているというリアクションが大切です。聞いてくれるのなら相手も話そうという気持ちになります。顔芸もリアクションの一つの方法です。

 

メラビアンの法則:アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによって提唱された法則で、人と人がコミュニケーションをとる場合、視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%という割合で影響を与えていることを示した法則です。目から入ってくる情報がいかに大切かがわかりますし、見た目の印象はどうしても独り歩きをしがちです。どんなふうに見られているのかを考えて常日頃から行動するように心がけなくてはなりません。

耳からの情報も、声の音程・スピード・間で色々なシチュエーションが生まれます。自分自身が明るく元気な声を出すだけでその場が華やかにもなります。

 

「人は話なんか聞いていない」と私は考えています。なぜなら人は自分の都合で話を聞いているからなんです。「都合」というのは体調や予定、知識や興味のレベルです。皆それぞれ違うから同じように伝える事は難しいのです。

話す時には内容をできるだけ簡単にわかり易く話してください。専門用語もなるべく避けて、やさしい言葉を使いましょう。人はわからないということは恥ずかしいし、素直に言えないものです。

本当に内容を理解している人は、相手に合わせてやさしい言葉で話してくれます。言葉は簡単でも、知識を減らせと言っているのではありません。

自分自身が何を話そうとしているのかを、きちんと整理しておくことも必要です。何を一番伝えようとしているのか、大切なことは一番先にタイトルをつけて相手に伝えてください。結論を先に伝え、その後で目次に沿って話すことが良いのではないでしょうか。

文をできるだけ短くしてください。「。」で一度文章を終わらせて、その後に接続詞をつければ文章がつながってきます。言葉を一つ足すだけで相手が迷わなくなり、安心して聞くことができるようになります。

話を印象深く演出することも必要です。まるで映像が頭に浮かぶようなイメージ作りを大切にして、見えているものを順番に言葉を使って具体的に話をしてみてください。

 

コロナ禍の現在ではオンラインの機会が増えてきました。マスクをしていて相手からは見えないから適当にというのではなく、必ず口をしっかり動かして話しましょう。口をしっかり動かすことで、話は明確にわかりやすく相手に伝わります。相手目線に立って伝えること、相手がどう考えているのかを常に思い描きながら話すことが、今のコロナ禍の時代ではより求められると思います。

また、オンラインでは顔だけでなく、上半身まで画面に映し出すことで全体のバランスが良くなります。

 

(質疑・まとめ)

以上で私の話は終わりです。何かご質問やご意見などありましたら遠慮なくどうぞ。

 

 受講者から、メールやラインのコミュニケーションで注意する点があれば教えてほしいとの質問あり

 

 そうですね、メールやラインはSNSなので相手の感情がわかりません。ですから、相手・関係性にもよりますが、普段よりも少し丁寧な表現で表現した方が良いと思います。ラインはメールよりもカジュアルですが、そうかといっていきなり初めての相手に絵文字を使ったりするのはどうかと思います。

コロナ禍の今、たとえマスクをしていても、その下で笑顔で話していると自然といい顔になります。無意識のうちに見えないことをいいことに、表情を作ることにおっくうになってはいませんか。相手はあなたを見ています。たとえマスク越しでもあなたの素敵な表情を相手に伝えてあげてください。

「顔は言葉で作られる」と私は考えています。言葉は表情をともないます。やさしい言葉をたくさん使っていれば優しい表情に、逆もしかりです。いい顔でいられるように、自分が使う言葉はやさしい前向きな言葉にしてくださいね。

 

ご清聴ありがとうございました。